親知らずについて知りましょう

智歯(親知らず)は正中から数えて8番目にある第三大臼歯のことで、多くの方に「トラブルの原因になることが多い歯」として認知されています。親知らずの断続的な痛みや腫れに悩まされている方、また過去に悩まされた経験がある方は、非常に多いのではないでしょうか。

では、なぜ親知らずは「トラブルの原因」になるのでしょうか? こちらでは、親知らずが痛むメカニズムとその治療法についてご紹介します。

親知らずが痛む理由

親知らずの特徴は、他の永久歯に比べて萌出が遅いこと。食生活の変化などによって近年は顎が小さい方が増えましたが、顎が小さいと親知らずが生えるスペースがないため、手前の大臼歯の下にもぐりこんでしまうのです。

手前の大臼歯と正しく生えなかった親知らずの間にはスペースが生まれ、そこに汚れがたまっていきます。風邪や疲労などで免疫力が低下すると、このスペース内で細菌が急激に増殖。炎症を引き起こし、歯肉を腫れさせるのです。腫れた歯肉は歯に当たることでさらにダメージを受け、それがさらなる炎症をもたらす――これが痛みの原因です。

親知らずはすべて抜くべきか?

よく、「痛いから親知らずを抜いてほしい」とおっしゃる患者様がいます。しかし炎症が起きているときに抜歯すると、かえって痛みがひどくなってしまうことも。炎症により痛みが生じている場合は、まず抗生剤を投与して細菌の繁殖を抑えます。同時に痛み止めを服用していただき、痛みを緩和します。2~3日経てば痛みもおさまるので、その後に抜歯するべきか否かを判断することになります。

親知らずの治療に際しては、多くのケースで抜歯を行います。しかし、状況によっては抜かなくてもいい場合があります。抜歯が不要なケースというのは、「抜歯しなければならないケース」に該当しない場合です。少しわかりにくいですが、「抜歯しなければならない」状況でなければ、歯を抜く必要はありません。

抜歯しなければならないケース

  • 大臼歯との間に汚れがたまるスペースがあり、うまくブラッシングできない場合
  • 歯茎に隠れて歯の一部だけしか見えない生え方をしている場合
  • 将来的に周囲の歯並びを悪化させる恐れがある場合
  • 完全に骨に埋まっているものの医師が問題ありと判断した場合
  • 虫歯が深く進んでいる場合

親知らず 抜歯後の注意点

もし抜歯を行った場合は、治療後の過ごし方に気を付けましょう。

POINT 1 麻酔の効果

  • ⇒効果が切れるまでは唇や頬の内側を咬まないよう注意してください。
  • ⇒温度感覚が麻痺しているので、食事は極力控えましょう。

POINT 2 患部の出血

  • ⇒長時間の入浴、運動、飲酒など血行がよくなる行為はおすすめしません。
  • ⇒患部はダメージに敏感なので、舌や指で触らないようにしましょう。

POINT 3 薬の服用

  • ⇒処方された痛み止めや抗生物質はしっかり飲みましょう。
  • ⇒2週間以上経っても痛みが続く場合は、ご相談ください。

POINT 4 治療の遅延

  • ⇒タバコや強いうがいは控えましょう。

当院で行っている外科手術について

歯牙移植

歯牙移植とは、歯を失った場所に自分にとって必要のない歯を移植する方法です。ほとんどの場合は、これに親知らずを用います。

乳頭腫・繊維腫・口内炎の治療

口腔内のできものを治療します。歯科用レーザーを用いることで痛みが少なく、早く治ります。入れ歯との接触によってできる腫瘍にも効果があります。

歯の再植

外傷などによって一度抜けた歯を元に戻すことを歯の再植といいます。歯根を破折した場合や挺出する(歯を引き上げて固定する)、根管治療が困難な場合に行われます。

PickUp 歯牙移植について

歯牙移植とは、歯を失った場所に自分にとって必要のない歯を移植する方法です。ほとんどの場合は、これに親知らずを用います。
欠損歯補綴手段として、最近はインプラントが発達していますが、もし移植できる歯があるなら当院では歯牙移植をお勧めしています。
インプラントと違い、歯根膜まで再生できるため、より天然歯に近い状態で咬合を回復できます。
またインプラントよりも安価で、移植した歯牙がもし脱落したとしても、その後にインプラント治療が可能になります。

歯牙移植のメリット

自分の歯になりますので、入れ歯のような違和感がありません。
移植した歯も本来の自分の歯になりますので、その後、矯正治療も可能です。これはインプラントではできません。
インプラントに比べ比較的安価に施術ができます。

歯牙移植を行う場合

口腔検査 → 診断 → 歯牙移植 → 移植歯の根管治療 → 移植 → 移植歯の矯正治療 → 移植歯の修復処置 → 経過観察

※「移植歯の矯正治療」は必要な場合に行う工程です。

手術時間はおよそ1時間ほどで終わります。
移植した歯は2~3ヶ月で骨に定着していきます。
ただ、噛み合わせ等が違和感なく感じるようになるまでは約1年ほど必要です。

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