天然歯を失わないための根管治療

虫歯が進行して歯髄にまで達してしまった場合に、天然歯を維持するために行う治療のことを根管治療といいます。
歯髄にある神経が死んでしまうと、根管(神経や血管が入っている細いトンネルのこと)のなかで細菌が増殖。さらなる症状の悪化、抜歯を避けるためには、この細菌を徹底的に取り除く必要があります。

当院ではマイクロスコープ、ラバーダム、歯科用レーザー、電動麻酔器などを使用し、精度が高い根管治療、患者様の負担が少ない根管治療に取り組んでいます。

根管治療は天然歯を保存するための最終ステージです

細菌の侵食と痛み

根管内に細菌が繁殖しても、痛みを感じないというケースがほとんど。レントゲン写真を撮ったときに、はじめて根管治療の必要性を指摘される患者様も少なくありません。しかし治療を開始すると細菌が薬液や空気に反応するため、患部が腫れたり激しい痛みが生じたりすることがあります。そうしたことが予想されるケースでは、あらかじめ抗生物質や痛み止めのお薬をお出ししますのでご安心ください。

根管治療の内容

まず汚染された根管内を、ギザギザの付いた針のような器具で掃除します。ある程度きれいになったところで薬液を入れて仮の蓋をし、奥深くまで浸透するのを待ちます。そして、再び細菌が繁殖しないように半永久的な効果が期待できる薬を入れ、根管を塞げば治療完了。その後、歯根にコア(土台)とクラウン(被せ物)を装着します。

根管治療では、前歯よりも奥歯の方が難易度は高くなります。症状にもよりますが、一般的に前歯で2~3週間、奥歯で1ヶ月ほどかかります。

根管治療時の注意点

  • 仮の蓋は材質の性質上、固まるのに半日ほどかかります。患部で食べ物を咬むのは控えてください。
  • 治療後に硬いものを咬んで歯や根が破折すると、抜歯が必要になる場合があります。被せ物を入れるまでは硬いものを咬まないでください。
  • 痛みがないからといって、途中で治療を中断してはいけません。必ず治療を完了させてください。くどいようですが、天然歯を保存するための最終ステージです。

なぜ根管治療は時間がかかるのか?

根管は木の根のように細かく分かれており、肉眼では細部まで見ることができません。非常に複雑な作業をお口のなかでしなければならないため、どうしても時間がかかってしまいます。
口を大きく開け続けてもらわなければならないので、患者様の負担が大きい(1回の治療は30~60分程度)という側面もあります。

また、さまざまな理由により細菌を取り除くことができないと、数年後に再び根管治療を行わなければならない場合があります。
当院ではマイクロスコープ、ラバーダムなどを用いた精度の高い治療を行っていますが、免疫力の低下などによって再び細菌が増殖してしまうケースも考えられます。

マイクロスコープによる根管治療を動画でご紹介しています

当院では治療にラバーダムを使用しています

「ラバーダム」とは、口や歯を覆うために用いる、ハンカチ程度の大きさのゴムシートです。鼻から顎先にかけて被せ、治療する歯のみを穴から露出させます。ラバーダムを使用しない場合の根管治療の成功率は60%ほどと言われていますが、ラバーダムがあればその確率は90%以上にまで上昇します。

ラバーダムを使用するメリット

  • 歯だけが露出させるため、頬の内側の肉や舌などが施術を阻害しなくなるので、安全で精密な施術を行える
  • 治療中の歯に薬品を詰める作業中、細菌を含んだ唾液が侵入し、後日再発するリスクを抑える
  • リーマーやファイルなど針状の小さな器具を飲み込まないようにできる
  • 冷却水や洗浄水はラバーダムに吸収されるので、息苦しくなく快適

当院では確実な根管治療を行うため、ラバーダムを使用することをお勧めしていますが、患者様の口腔内環境によって、ご使用できないことがあります。

虫歯は早めに治療しましょう

もっとも大切なのは、根管治療が必要になる前にしっかりと虫歯を治療すること。
「痛くなってから」ではなく、定期的に健診を受けることをおすすめします。

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